この子のため、私達が選ばれたのではなく、私達のためにこの子が選ばれた

初めまして。

私達には今年二十歳になるダウン症の息子がいます。

今、私達夫婦は、このように手紙を送る機会が与えられた事に感謝しています。

今、授かった新しい命に、不安や悲しみ、戸惑いがあるかも知れません。私達もそうでしたから。私達は20年前、産後の退院する日に、この子がダウン症と心臓病の合併症という事実を知り、不安と悲しみ、戸惑いの中にいました。

その頃は真っ暗で何も見えないトンネルを通るかの様でしたが、息子を通して大切な事をたくさん教わりました。

一歳前後での二回の手術、三ヶ月の入院生活の中で、キリスト教会の方々に祈って頂き、この子は神様から授かった宝であり神様に守られている事、私達を愛し命を与え生かして下さる方が神様である事を知りました。また、この子のため、私達が選ばれたのではなく、私達のためにこの子が選ばれたのであって神様からの大切なプレゼントである事です。

息子が生まれてから私達が変わった事は、ダウン症のお子さんとお母さんやご家族を見かけると、不思議と家族の様に声をかけたくなる事です。一緒に泣いたり笑ったり、助け合う人々との出会いが、ずっと、沢山、広く広がっていく事を楽しみにして下さい。愛され愛する故に受け入れられる喜びを親子で味わいながら、誰も知らない素敵なお話を沢山作って下さい。

もしあなたに「私の力では何も出来ない」という思いがあるならば、私より我が子を愛し、私達を愛して下さっている神様を知る祝福があります様に。

授かった新しい命は、ゆっくりゆっくり、でも着実に成長していき、少しずつ出来る事が増えていきます。その一つひとつは当たり前の事で小さな事かも知れませんが、とても大きな感動と喜びの日々となるでしょう。

幼稚園、小学校、中学校、養護学校と元気に通い、変な顔をしてみんなを笑わせたり、歌やダンスで周りを和やかにしたり、いつも明るく笑顔が絶えない楽しい毎日を送って来ました。

そんな息子は今、無事に二十歳を迎えるまでになりました。息子にはできない事がいっぱいあります。でも色々な事に関心があり興味を持ちます。

パパやママ、家族みんなで色々な事を経験させてあげましょう。すると、こんな事が出来るんだと感動する時、嬉しくて誇らしくて涙する時がありますよ。

神様から授かった恵みと祝福の素晴らしい子供だと確信する時が来ますように祈っています。

tomo’s dad & mom (神奈川県)